「相対死」(あいたいじに)とは?
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元禄末から享保の初め頃、近松門左衛門の実際の心中を元にした数々の心中物が大反響を呼び、現実の心中ブームへとつながった。それを憂慮した八代将軍吉宗は心中を禁じ、心中物の上演も禁じた。そして「心中」という言葉も禁止して「相対死」とした。
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元禄初期(1690年頃)までは芝居小屋の一般観客席には…屋根がなかった。 |
元禄初期頃の劇場の様子では、舞台、楽屋、桟敷には屋根が付いているが、後の土間となる一般席部分には屋根がなかったので、雨天には興行ができなかった。享保期(1716−36)に見物席の全体を覆う屋根が許される。 |
歌舞伎の変遷
江戸人にとって歌舞伎とは
幕府にとって歌舞伎とは
江戸三座
芝居興行
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役者は座元と一年の専属契約。
まず座頭を決めてから座頭とも相談し、一座の顔ぶれを決めていく。座頭を誰にするかは、一座の存亡に関わる重大事であった。
この契約更新をするのが11月の顔見世興行で、顔見せは芝居町の正月と言われた。
霜月に 来年中の 顔を見せ |
芝居小屋
桟敷(さじき) |
古代・中世芸能以来の伝統を引く特等席。江戸中期から二層になる。 |
平土間(ひらどま) |
一般席。屋外の仮説舞台時代には、仕切りのない土の上だった。(芝居の語源は芝生の見物席から転じている)明和期頃より枡席になっている。 |
高土間(たかどま) |
享和二年(1802)秋、中村座改築の折、下桟敷の前に土間よりも一段高い席がつくられた。 |
羅漢台(らかんだい) |
舞台下手奥に設けられた下級の桟敷席。舞台を後ろから見ることになる。この席に並んだ客が仏像の五百羅漢を並べたのに似ているところより。 |
吉野(通天) |
羅漢台の上にある桟敷。目の前に桜や紅葉の釣り枝が見えるところからついた名称。 |
楽屋の部屋割り (舞台裏は楽屋)
3階 |
囲炉裏、座頭部屋、立役部屋、床山など |
2階 |
立女形(たておやま)部屋、女形部屋 |
1階 |
頭取場、作者部屋、囃子方部屋、風呂場、小道具部屋、衣装蔵など |
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『曽根崎心中』『心中天網島』『女殺油地獄』などなど。人形浄瑠璃から歌舞伎化された。 |
日に三箱(みはこ)鼻の上下 臍(へそ)の下
箱とは千両箱、1日に3カ所でそれぞれ動いた。
その場所とは、鼻の上は目、つまり歌舞伎芝居。鼻の下は口、食べ物つまり魚河岸。臍の下は言わずと知れた吉原遊郭。 |
江戸っ子の芝居の見方
かしこまって鑑賞する者はいない。煙草はもちろん飲み食いも自由。しかし肝心な場面は心得ており水を打ったようになった。まずい芝居には容赦なくヤジを浴びせミカンの皮を投げた。客と舞台に一体感があった。 |
同時代(江戸時代)の話は御法度
時代設定を江戸以前の過去の世界にした。
『仮名手本忠臣蔵』
南北朝時代
吉良:高師直(こうのもろのう)
浅野:塩冶判官(えんやはんがん)
大石:大星由良助(おおぼしゆらのすけ) |
官許のしるしとして芝居小屋正面の屋根には櫓(やぐら)を置き、 座元の紋を染め出した幕を引きめぐらせた。 |
宮地芝居(みやじしばい)
江戸三座以外にもあった芝居。町奉行管轄外の神社や寺の境内で小屋がけで興行した。 |
幕の内弁当
芝居小屋で食べる弁当を笹折に入れ「幕の内弁当」と名付け売り出した。日本橋芳町 懐石即席料理「万久(まんきゅう)」
おりぎり(小)10ヶ
玉子焼き
かまぼこ
煮しめ(かんぴょう・こんにゃく・焼き豆腐) |
定式幕(じょうしきまく)
歌舞伎の正式の引き幕。官許の三座だけが許された。これら以外の宮地芝居などは上下する緞帳(どんちょう)を使用したので、「緞帳芝居」「緞帳役者」と蔑まれた。
客席から見て右から
中村座:黒・茶・白
市村座:黒・茶・緑
森田座:緑・茶・黒
明治中頃以降市村座のものに統一
茶=柿、緑=萌黄
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座元
公許の名義である「名代」の所有者、劇場主。役者を集め一座を組み興業上の一切の責任を負う。
帳元
実務の総責任者。役者の人事権を持ち経営の一切を取り仕切る。
奥役
楽屋に関する一切の事務を担当。
金主
スポンサー。興業の内容から役者の給金、興業の経費節減まで干渉した。複数名で出資した。
座頭(ざがしらともいう)
一座の役者をまとめ、芝居の演出もした。 |
割土間(わりどま)
1人飛び込みで入る場合、土間の定値段を25匁として(一間7人詰の場合)7で割ると3.57匁、1人分は約5,950円;1両を10万円とした場合。
※一間4〜6名との説明もある、時代や個々の劇場によっても異なるものと思われる。 |
芝居茶屋(しばいぢゃや)
芝居小屋付近に建てられた観劇客に便宜を供した施設。 劇場内には十分な施設がないため、より快適なサービスを望む上等客は茶屋を利用した。
・その内容は
桟敷席の座席の予約手配
毛氈、座布団、茶、煙草、番付等の提供
菓子、口取肴、幕の内、酒肴、寿司、水菓子等の食べ物の提供
茶屋での小用、化粧直し、着替え、幕間の休憩等
さらには閉幕後、贔屓の役者を呼んだりした。
桟敷席の客は茶屋を通してしか席を購入できなかったので必然的に芝居茶屋を利用することになる。桟敷席の値段はおよそ35匁(約5万4千円;1両を10万とした場合)
文化13年の『世事見聞録』によると、どんなに倹約しても桟敷では金1両2分(15万円)以下にはならないと、書かれている。(茶屋の諸費用込みで) |
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